朝見充彦事件簿(5)
天城峠の妖精

                 
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 (21)

 静岡県警から下田署に照会すれば、なんかわかるだろう。
 これで女の素性が判るか、死んだ男の事情も分かるか、色めき立った市原署だった。

 市原署の捜査本部は、」さっそく千葉県警を通じて、静岡県警から下田署へと調査依頼が行なった。
 数日後、下田署からの返事が返ってきた。
 ーーこの女性は数か月前、黄金崎から転落した女性だった。東京の消費者金融H社の社員の天野芳子と判明した。
 でも、これが小沢の死と何の関係があるのか?

 千葉県警は警視庁を通じて消費者金融H社を当ったのだった。
 どうやら、会社で金利操作のトラブルがあったらしい。
 お金を借りに来た一部の顧客に対して法定よりも高い利率で貸していたらしい。法定の利率との差額は自分の懐に入れていたとのことだった。
 それを苦にして、この女性社員は自殺したらしい。

 しかし、そこまでしかわからなかった。
 市原署での捜査は行き詰り、小沢は酩酊したうえでの事故死とされてしまったのだった。

 しかし、このことに不満を、疑惑を抱く人間がいた。
 天城峠の妖精、桜田美和だった。彼女は自分がタレントとして成功するうえで小沢に多大なる援助をしてもらったのだ。
 小沢さんが酔っ払って溺れるなんて信じられない。
 どうしたらいいんだろう?
 仕事をつづけながら悶々とするのだった。

 続く