朝見充彦事件簿(5)
天城峠の妖精

                 
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 (02)

 転落していたのは所持品から東京の消費者金融H社の女性社員、天野芳子ということが判った。
 携帯は持っていなかった。それとも、転落中に落としたのか。
 周囲を調べたが、何も見つからない。
 発見した観光客たちを聴取したが、同伴者がいた形跡はなかった。どうやら一人で来たようだ。
 ここはけっこう不便なところなのだ。車でなら沼津ICから90分。電車なら東京から特急「踊り子」で2時間で伊豆箱根鉄道修善寺駅へ。そこからバスで75分なのだ。
バスの終点、クリスタルパーク下車から徒歩で10分なのだ。

 修善寺駅の監視カメラには一人で降りてきた女が写っていた。同伴者は見当たらない。駅付近のカメラにも一人で歩く姿があるだけだった。バスの運転手にも記憶がないとのことだった。ここからバスか? それとも車か?定かではなかった。
 黄金崎の周囲での聞き込みにも、不審者は見つからなかった。天野女史は一人で歩いていったようだ。      

 続く