翌日、島崎のところへ行った朝見だった。
　島崎は若い女性と待っていた。
「やあ、朝見さん、この方の相談なんですよ。わたしも興味はありますが、新聞社としての業務には向かないと思うんで、連絡しました。彼女も朝見さんに会いたがってましたしね」
「こんにちは、アース企画の神田といいます。朝見さんのお名前は聞いています。四万十川の船頭さんから聞きました」
「え、四万十川？　ひょっとしたら、四万十川の若鮎ってあなたのことですか？」
「ええ、そうなんです。でも恥ずかしいわ」
「四万十川の若鮎って、なんのこと？」島崎が訊いた。
「いや、四万十川で彼女が川に落ちて、それを報じた地元新聞に掲載されてたんですよ。その後、僕は四万十川あたりをルポしてたんですよ」
「へえ、そうですか。後で新聞のデータを調べてみよう。まあ、それはそれとして、神田さん、すべてをもう一度、朝見さんに話してください」
　それから神田は知っていること、疑問に思っていることをすべて朝見に話したのだった。

　じっくり聞いた朝見はしばらく考えて言った。
「そうですか。実は高松の玉藻園での事件の日は、僕は高松にいたんですよ。その夜、僕は公園の近くをレンタカーでうろうろしてたんです。そのからみで不審者に間違えられて、高松署の刑事と会い、池袋署にも行ってアース企画さんの調査もやらせたんですよ。でも、その時は何にもわからなかったんです。でも、芸能プロＧがからんでいるとなると、もう一度捜査やり直しですね。野蒜築港の件はたしか、鳴瀬署ですね。以前、ある事件で一度、行ったことがあります。森田社長の行動も疑問ですね。
もう一度、仙台あたりを徹底的に調査する必要がありそうですね。一度、鳴瀬署へ行ってみましょう。高松署と池袋署へも行って、調査をやり直した方がいいみたいですね。神田さん、森田社長と沢口さん、近藤さんの写真でもありませんか？」

　島崎が言った。
「そうですね、朝見さん、よろしく。読日新聞としても協力しますよ。仙台支局に連絡しときます。うまくいけば取材費もある程度出させてもらいます」