その時、あるイベントの時に知り合った読日新聞の記者が頭に浮かんだ。彼女はその時インタビューを受けたのだ。
　彼はインタビューの後に言っていた。
「僕は、ふつうはこんなイベントのインタビューには来ないんです。事件記者なんでね。でも、今日は担当がやりくりつかなくなって僕が来たんです」
「でも、あなたはよくできた人だ。アース企画にはもったいないね。どこへ行っても大成するでしょう。応援したくなるよ。なにか困ったことがあったら連絡してきてもいいですよ。できるだけのことはしますよ」

　半分お世辞だろうが、そんなことを言われたのを思い出した。
　彼は大手の新聞社だ。そこならいろんな事情を詳しく調べてもらえるだろう。名刺を探して、さっそく電話した。
「もしもし、読日新聞の島崎さんですか？　覚えていらっしゃらないかもしれませんだ、わたし、以前、イベントの時インタビューを受けたアース企画の神田ともうします。私事ですが、ぜひお会いしてご相談したいことがあるんですが。お時間いただけませんでしょうか？」
　電話を貰った島崎だったが、一瞬、誰かととまどった。ああ、あの時の企画会社の若い美人社員だ。思い出した。
「ああ、あのときの神田さん。いいですよ。どんなご用かわからないけど、明後日の午後なら空いてます。本社へ来てくれますか。社会部の島崎を訪ねてください」
「ありがとうございます。じゃ、明後日の午後一時に参ります。よろしく」