なんだいこれは。レンガで造った突堤の跡が残っているだけだ。野蒜築港というイメージでは、もっと大きいと思っていたのに、小さなレンガ造りの突堤が二個あるだけだ。

　野蒜（のびる）築港は、日本最初（明治１１年～）の近代的洋式港湾建設事業という。

　そんなのならもう少し整備しろよ。あちこちに遺構が点在しているらしい。車で散々走り回った。煉瓦の防波堤みたいのがあるだけだ。こんなところを見に来るやつなんかいないのか、ほとんど車も通らないし、眺めているやつなんか誰もいない。こんな寂しいところもないよ。ちょっと、気落ちする。

　しばし眺めているうちに、二人は眠くなってしまった。気分も悪い。
　そのまま、車に戻って眠り込んでしまった。