第四章　仙台での事件

　退職した沢口だったが、近藤との付き合いは続いていた。二人はどんどん親密になっていったのだった。
ある夜、ホテルで飲みながら、近藤が言った。
「沢口さん、今度、ドライブに行かないか。仙台・秋保温泉から松島、野蒜築港なんかを巡ろうよ。次の日は中尊寺へも行こうよ。僕の車で。どう？」
「いいわよ、仙台っていい所でしょ。秋保大滝って大きなきれいな滝があるんでしょ。行ってみたいわ。でも野蒜築港って何？」
「まあ、それは行けばわかるよ。よし、判った。日程を調整して、連絡するよ。それまで待っててね」

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　翌日、近藤はアース企画へ行った。次の仕事の話だ。そこで森田社長と神田女史と仕事の打ち合わせをじっくりと行った。うまく話がまとまり、さあ、帰ろうかというとき、森田社長が言った。
「近藤君、どうだ、沢口君とはうまくいってるかい」
「ええ、うまくいってますよ。今日の打ち合わせでちょっと仕事が空いたから、今度の土曜日からちょっと二人で、東北・仙台あたりを旅行しようと思ってるんですよ」
「へえ、いいね。どこいくんだい？」
「土曜は秋保温泉、日曜は松島から野蒜築港へ行こうと思ってるんです」
「野蒜築港ね、何もないけどまあ、いい所だよ。まあ、楽しんでおいで」
　森田社長はもう少し詳しい行程を聞きだして、心にしまった。
ちょうどいい機会だ。二人に思い知らせてやろう。俺を裏切らないように。

　横で聞いていた神田は吃驚した。
　沢口女史と近藤さんが付き合ってるなんて知らなかったわ。へえ、そうなの。
　たしか、沢口さん、社長と付き合ってたと思ったけど。へ、そうなの。