社長の言葉の裏を読んだ近藤は、しばらく考えて答えた。

「わかりました、社長のご意向はよくわかりました。ご要望にお応えしましょう。でも、その代償に私を御社に呼んでくれませんか。十分な報酬と一緒に。社長の将来を私が力いっぱい援助します。いいでしょう」
「よし、判った。今度うちの社では道後温泉で慰安会をするんだ。その前の日、高松の栗林公園に奥田を呼びだす。そして、玉藻公園で奥田を処分してくれたまえ。やり方は君に任す。そのとき、このメモを奥田のポケットに入れておいてくれ。それから携帯をとって処分してくれ。このメモは以前、奥田が手違いでうちのパソコンを壊した時の始末書なんだ。自殺に見せかける格好の材料だ」
「わかりました、社長のためなら、やりましょう」

　そして当日、近藤は奥田と栗林公園で会い、泥酔させ、玉藻公園に連れ出し、人目のない深夜に堀に突き落としたのだった。
　こうして奥田の処分は思惑通りに行ったのだった。