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　道後温泉での慰安会のしばらく前、社長は奥田を呼んだ。

「奥田君、慰安会の前の日、高松の栗林公園へ行こうじゃないか。そこで君の要求する口止め料を払おう。沢口君とも別れるよ。彼女はそのうちに会社を辞めてもらおう。君は今まで以上に優遇するよ」
「わかりました。じゃ、前の日に岡山から電車で高松の栗林公園へ行きます。お昼過ぎに入口で待ってます」

　それから社長は以前東京で開催したイベントの時に知り合い、それから懇意になって、公私とも親しく連絡をとりあっているある芸能プロ・Ｇの若い男を呼んだ。
このイベントの時には沢口が主体となって交渉したのだ。ちょうど都合がいい。
　彼は奥田とも知り合いなのだ。
「近藤君、ちょっと話があるんだ。相談に乗ってくれないか。報酬はたっぷり払うよ」
「何ですか、社長のご要望とあれば、何でもしますよ」
「うん、ところで君は、うちの沢口女史を知ってるね。あのきれいな子だよ。奥田も知ってるね」
「ええ、二人とも知ってます。沢口さんはきれいないい子ですね。でも、デートに誘ってもなかなか、うんと言ってくれないんですよ」
「いや、実はね、うちの奥田と沢口の件で困ったことが起きててね。どうしても奥田が邪魔なんだよ。なんとかして、うちからいなくなるように仕向けたいんだ」