しばらく待つうちに、由紀と山田とその父親がやって来た。
「朝見さん、おいでくださいましてありがとうございます。ご紹介しますわ。山田の父親です。わたしの父です」
「山田です。よくおいでくださいました。こんないい女の方と息子が結婚するなんて夢見たいです」
「朝見さん、ありがとう。わたしも結婚できることになりました。朝見さんのおかげです」
　口々に礼を述べる三人だった。
「いえ、僕は何にもしてませんよ。すべてはお二人の努力のたまものです」
　それから三人は近くのレストランで食事をして、楽しい会話を交わしたのだった。

「明日、二人の結婚式を行います。わたしたち、三人だけです。朝見さんにはぜひ、立会人として参加していただきたい」
　そう懇願する父親だった。
「私でよければ、いいですよ。お二人の新しい出発を祝福しましょう」
　気持よく欲承諾した朝見だった。

　翌日、お昼前に、ホテルへ父親が迎えに来た。
「今、二人は準備中です。わたしが迎えに来ました。さあ、行きましょう」
　父親の車で、少し走る。実家の近くの小さな神社だった。
　二人は神官と一緒に、正装して待っていた。
　三人だけの結婚式だった。人数が多い方がいいんじゃない。少なくても心籠った結婚式だった。
　正装した羽織袴の山田と白い着物の由紀はきれいだった。
　まさに因幡の白兎だ。
　朝見は思わずつぶやいた。
「ああ、因幡の白兎が八神姫になったんだ。そして大国主命と結婚したんだ。まさに、その通りだな」
　朝見のつぶやきを聞いた三人は感激して朝見の手を取るのだった。
　結婚式の跡、山田の実家で四人は団欒した。
　すっかりリラックスした朝見だった。

「朝見さんはこれからどうするのですか」
「私は今夜はゆっくりして、明日、能登半島を巡りながら小松空港まで行きます。今日は楽しい一日を過ごさせていただいてありがとうございます。
どうか、お幸せにＰ過ごし下さい」