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　島根県警と池袋署の捜査は急速に進展した。
　翌日、弁護士の加藤と手伝いの鬼頭を任意で事情聴取した。
　山下殺害について頑強に否定するふたりだった。しかし、日御碕の駐車場で山下を誘って遊歩道へ行ったのを目撃した商人がいるのだと言ってきつく訊問する警察だった。
「何を拒否したって、鬼頭さん、あなたが日御碕にいたことは証明されてるんだよ。そして市原という偽造の運転免許証を使ったこともわかってるんだよ。さっさと自白したらどうなんだい。いやなら偽造免許の使用で逮捕してもいいんだよ」

　鬼頭はついに自白したのであった。

　加藤から電話があり、急遽出雲へ向かったこと。この件の報酬は加藤から約束されていたこと。自分本位に利益を雌伏する山下にうんざりしていたこと。日御碕で殺害したことを自白したのだった。
　鬼頭の自白によって、加藤もついに自白した。顧問弁護士として山下にたくさん貢献しているのに分け前が少なすぎると憤っていたこと。出雲でのターゲットとの調印が終わってすぐに鬼頭に電話して山下殺害を指示したこと。など、すべて自白したのだった。

　こうして出雲での事件は決着した。

　島根県警の二人と池袋署の堀越は、朝見に深々と頭を下げるのだった。
「朝見さん、ありがとう。お陰で事件が決着したした。本来なら表彰物なんですけど、朝見さんはこんなことがお嫌いでしょうからやめときます。本当にありがとう」

　Ｋ商事が誤魔化していた資金は加藤と鬼頭が自分のものとしていたが、事件の決着とともに、没収され、「被害者の会」へ移されたのだった。

　Ｋ商事が不法に得ていた資金は一億円近くにもにも達していた。その資金は「被害者の会」とその弁護士によって、それぞれの被害額に応じて各自に分配されたのだった。