池袋署と島根県警の任意の事情聴取に、二人は全面的に協力した。そしてなんとか復讐の機会を見つけようと、出雲へ行ったことを認めた。

ーー日御碕の駐車場で由紀を待つ山下のもとへ一人の男が近づいて何処かへ誘ったこと。山下の死体を遠くから確認したこと。とばっちりを惧れて何も言わずに東京へ帰ったことなど、包み隠さずに話すのだった。ーー

　井出警部が質問するのだった・
「ところで、日御碕の駐車場で声をかけた男って、わかります？　ひょっとしたら、この男じゃないですか？」
　といって顧問弁護士の写真を見せた。
　小野由紀と山田浩二はＫ商事の顧問弁護士の写真を見た。
「あ、この人、うちに投資の説明に来た弁護士さんだわ」
「ちがいますねえ。駐車場にいたのはこの男の人じゃないです」
「じゃ、こっちは？」
　といってもう一人の手伝いの男、鬼頭賢治の写真を見せた。

「おお、この男、出雲で山下さんを誘っていった男だよ。間違いないよ。ぼく、ちゃんと見たんだから」
「間違いないですか？　証言してくれますか」
「間違いないです。この男ですよ、山下さんを連れ出したのは」
「ありがとう。これで事件は解決の方向へすすみそうです。事情聴取にご協力いただいてありがとうございます」