２

　山下の仕事、それはＫ商事としての仕事だった。出雲に格好のターゲットが見つかったのだった。最終的に契約を結ぶために、弁護士と一緒に打ちあわせに行くのだ。
　最初の契約くらいは誠意を見せておかねばならない。
　こうしていつもの顧問弁護士と現地へ赴くのだった。
　東京から出雲へはけっこう遠い。羽田１０：１５の出雲行のＪＡＬで出雲空港に１１：５０に着いた。そこから出雲市へ行くのだった。
　出雲のホテルで食事しながら、二人は翌日の算段をするのだった。
　そこで、山下と弁護士の加藤との間に軋轢が生じたのだった。

「加藤君、明日はうまく頼むよ。なんせ、弁護士ってのは世間の信用が厚いからな。君なしじゃ話もうまくまとまらないよ」
「山下さん、話は分かっている。でも、ちょっと俺は君の俺に対する処遇に不満があるんだ。大津の一件とか、輪島の一件とか、その他のことでも、やることは俺の方が大変なんだよ。君は口先で誤魔化しとけばそれでいいんじゃないか。おれはいろんな資料の作成とか、地元の弁護士会への根回しとか、大変なんだよ。
　その割には俺への報酬が少なすぎるんじゃないか」
「おいおい、今さら何言うんだ。２０パーセントも払ってるじゃないか」
「たった、２０パーセントだぜ。少なくとも。４０パーセントは欲しいね」
「待てよ、２０パーセントで不服なのかい。それなら、もう止めちゃったらどうだい。君の弁護士としても活動をできないようにすることなんて、簡単なんだぜ。一言、俺が弁護士会へ言えばいいんだからな」
「それはないだろう。悪事を働いているのはあんただぜ。俺はがまんならないよ」
「そりゃないだろう。我慢できないのなら、あんたはもう首だぞ」
　山下の言い方に恐怖を感じた加藤だった。

　その夜、加藤は東京の自分の親しい男に電話をした。長々と電話し、自分たちの取るべき行動を相談したのだった。