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「いいですよ。行きましょう。でも、けっこう遠いなあ。鯖街道って歩けないような山道もあるんすよね。車じゃ大変かな。おまけに西ルートもあるんですよね」
「いや、いや。我々のルポは、それを読んで如何に観光客がたくさん来てもらえるかってことも大事なんだよ。ルート沿いの宿場町や、美味しいものを紹介してくれればいいよ。朝見ちゃんの得意な車で行って、独特のルポをまとめてよ」
「わかりました。明後日からいきましょう」

　朝見はとにかく、小浜から京都・出町柳までの東ルートを行くことにして、いつものようにソアラで出発した。
　鯖街道っていっても、小浜から京都までだ。７０キロもあるんだ。とても全部を回りきれるもんじゃない。本当は全部を歩くのがいいんだろうが、朝見にはその気はない。車で行ってポイントごとに取材して、全体像をまとめよう。
　東京から東名高速・名神高速を通って、米原から北陸道へ向かい、敦賀から舞鶴若狭自動車道で小浜へ向かった。けっこう遠い。高速料金も一万円を超える。
　到着したのは、夕方五時を過ぎていた。まあ、小浜ＩＣからすぐなのは助かる。

　とにかく、小浜港近くのビジネスホテルに宿をとったのだった。
　もう歩き回るのには遅い。夕食がてらに近くを散策することにした。
　歩いていると、いづみ町商店街に出た。ここは鯖街道の起点らしい。
　町並み保存資料館、さば街道資料館などがある。いい感じの商店街だ。鮮魚店がたくさん並んでいる。いいなあ、この商店街は。ここから、京都まで鯖を運んだのか。なんかそれらしい雰囲気がしてくる。
　若狭湾で取れた鯖に一塩して京都まで運ぶと、ちょうど良い味になったといわれ、この鯖を運んだ道を鯖街道と呼称したそうだ。
　運んだのは、もちろん鯖だけではなく、多くの海産物の他に、北前船から陸揚げされた物資も輸送されたんだ。
　鯖街道資料館のそばに一枚のプレートがあった。
「京は遠ても十八里／　さば街道　起点」とある。そうか、ここからスタートするのか。
　じゃ、今回のルポもここがスタートだな。資料館にも行ってみた。残念ながらもう閉館だ。しょうがない。明日来よう。
　さらにうろうろしていると、道路端に杉田玄白の像があった。そうか、そうなのだ、ここ小浜は「解体新書」で有名な杉田玄白の故郷なのだ。