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　連絡を受けた韮崎署からパトカーがやって来た。
　男は死んでいるのは明らかだった。後頭部に打撲傷があり、直接の死因は絞殺だった。
　すぐに周囲の捜索が開始された。近くの藪から血の付いた石ころが見つかった。どうやら、これで殴打されたらしい。
　警察の事情聴取を受けた悪丸君のグループは時間をとられて、御座石鉱泉へ行くのが大幅に遅れて、大きな迷惑をこうむったのだった。でも、まあ、しょうがないか。

　捜査を開始した韮崎署だった。
　持っていた免許証から被害者は東京の独身男性。東京の下町のワンルームマンションに一人で住む市川大介という男だと分かった。
　市川は東京の小さな人材派遣会社の契約社員だった。
　連絡を受けた勤務先の社長と、市川の実家から母親がやって来た。
　勤務先の社長からは大した情報は得られなかった。
　市川を見て泣き崩れた母親も、この数年、息子に会っていないとのことで詳しい情報は判らなかった。
　市川は契約社員で、そこでは週三日勤務だった。
　残りの日は、どこで何をしてたのか。そこらの事は全然わからない。
　市川は、税理士の資格を持っていた。
　そんな資格のある彼がどうして人材派遣会社の契約社員で満足していたのか？