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　翌朝、二人は車で小浜へ向かった。ここから鯖街道を散策するのだ。

　鯖街道、若狭街道は複数のルートが存在するが、その主要ルートは、京都の北、出町柳付近から高野川沿いに北東に進み、洛北・大原を経て滋賀県の途中町を抜ける。更に安曇川沿いを北上し、高島郡の保坂で今津から来た九里半越えに合流、その路を一直線に福井県小浜市までの全長６８キロメートルの路なのだ。
　二人は、小浜港、熊川宿、朽木宿を回るのだった。
　小浜港の海鮮市場はいい。にぎわっている。いずみ町商店街には鯖街道の起点がある。

　次の熊川宿もいいよ。よく整備されている。ゆっくり歩ける。
朽木の宿もいいね。
　鯖街道の二つの宿場、素晴らしい宿場だよ。
　でもあまり時間がないので、そうゆっくりもしておれない。鯖街道沿いにはいろんな名所・旧跡があるがほとんどスルーした。それでも楽しかった。
　二人は各々の宿場にある鯖街道の碑で記念写真を撮りながら、鯖街道の終点である京都・出町柳へと行くのだった。
　京都に着いたのはけっこう遅くなってしまった。二人は、京都駅・八条口でレンタカーを返却し、新幹線で東京へ向かった。この旅は一泊二日の短い旅だったが、楽しい旅だった。
　そして、これが二人の最後の旅になったのだった。

　男が女に贈ったネックレスには秘密のデータを記録したマイクロＳＤカードが隠してあった。
　自分の行く末を、将来の変事を予感していたような男の行動だった。
　そして、これが二人の永遠の別れになったのだった。