二人は仙台青葉ＩＣから東北道を走る。そして村田ＩＣで降りた。
ここから蔵王へ向かうのだ。
　標高１１００ｍの蔵王高原ホテルがあった。
　次は賽の磧だ。ここから登山道があるみたいだ。少し歩いてみた。石がごろごろしたまさに賽の磧だ。
　さらに走ると、こまくさ平に着いた。
　すごいね、ここからの景色は。岩山の間から滝が流れ落ちている。なんという景色だ。
歩きにくい路を歩くとなんともいえない景色が広がっている。目の前に岩肌が広がり、はるか前方の山々は荒々しい。ところどころに　緑があって、一筋の滝が流れる。最高だね。しばし堪能する。

　さらに走る。しばらく行くと蔵王エコーラインに入る。ここは有料なのだ。頂上の駐車場はほぼ満員だ。
そぐそこが御釜なのだ。
　少し歩くと目の下に緑の御釜があった。
　湖面はエメラルドグリーンの水をたたえ、荒々しい火口壁と対比して神秘的な雰囲気だ。
　いいね。なんともいえないな。ここは、魚も棲めない強酸性の水なんだそうな。
　なんともいえないすばらしい火口湖だ。
　しばし堪能して標高１７５０ｍの苅田岳山頂へ。山頂には奥の宮があった。

さすがにこんな山頂だ。鉄筋コンクリート製だった。周囲には石ころを積んだケルンがいっぱいある。すごい景色だ。
　山頂レストランで釜飯を食べたかったが、売り切れだった。
　釜カツどんにした。さすが、食器はお釜だ。満足。蔵王に満足、御釜に満足、蔵王エコーラインに満足、蔵王ハイラインに満足、途中の景色に満足、滝に満足、天気に恵まれすべてに満足した蔵王だった。
　それまであまり口もきかなかった二人だが、蔵王の景観に心奪われ、だんだんと打ち解けていくのだった。
　蔵王の御釜で一休みしてから、国道１３号線をひたすら亀岡文殊へと向かう。
　亀岡文殊は、丹後(京都)の切戸の文殊、大和(奈良)の安倍の文殊とともに、日本三文殊の一つとして有名なのだ。
　大同２年(８０７年)に、東北地方布教のため、当地を訪れた徳一上人が、五台山に似た山容に心うたれ堂宇を建立したのが文殊堂の始めといわれている。
　文殊堂は文殊菩薩、すなわち釈遵の左にいて知恵を司る菩薩をまつり、中国では五台山がその浄土とされ、昔から、『三人よれば文殊の知恵』といわれるように、学問の神様として知られているのだ。
　蔵王から３０分ほどで亀岡文殊堂に着いた。１４：００頃だ。いいね、ここの文殊堂は。さすが上杉、直江氏の庇護を受けただけのことはある。